監修 石田 大輔 (いしだ だいすけ)

名城法律事務所サテライトオフィス 代表

所属 / 愛知県弁護士会 (登録番号42317)

保有資格 / 弁護士

示談交渉の意義と基本的な考え方

診断書例

交通事故の怪我で主治医から「良くなってきましたね」と言われるのは、本来喜ばしいことです。
しかし、後遺障害の申請においては、医師のその「何気ない一言」が、数百万〜数千万円の損害賠償を失わせる致命的なリスクになることをご存知でしょうか。

「治療のプロ」である医師が良かれと思って書いた言葉が、自賠責保険の審査では「もう障害はない」と解釈されてしまうのです。

今回は、後遺障害診断書で絶対に書いてはいけない「NGワード」と、その理由、そして適切な言い換え表現を詳しく解説します。

医師と審査員の「言葉の解釈」のズレ

なぜ医師の言葉が問題になるのでしょうか?それは、医師と自賠責保険の審査員(損害保険料率算出機構)で見ている「ゴール」が違うからです。

  • ・医師の視点: 「事故直後よりは良くなった(改善)」= 成功
  • ・審査員の視点: 「改善したなら、将来にわたる障害ではない」= 非該当

このギャップを埋めない限り、正当な等級認定は勝ち取れません。

認定を絶望的にする4つの「NGワード」

後遺障害診断書に以下の言葉が含まれていないか、提出前に必ず確認してください。

① 「経過良好」「順調に回復」

医師がリハビリの成果を称えて書く言葉ですが、審査では「完治に向かっており、残存する障害ではない」と判断されます。

リスク: 痛みやしびれが残っていても、この言葉一つで「将来にわたる持続性」が否定されます。

② 「完治」「治癒」

最も危険な言葉です。「症状固定(これ以上良くならない状態)」を「治癒」と混同して記載する医師が稀にいます。

リスク: 文字通り「障害はゼロ」という意味になり、即座に非該当となります。

③ 「消失」「(しびれが)軽減した」

「以前よりは楽になった」という意味で書かれても、審査では「障害が消えた」とみなされます。

リスク: 特に12級と14級の境界線にいる場合、わずかな「軽減」という言葉が認定を妨げます。

④ 「心因性」「不定愁訴(ふていしゅうそ)」

画像で異常が見つからない場合、医師が「精神的なもの」「原因不明の訴え」としてこれらの言葉を使うことがあります。

リスク: 「交通事故による身体的な損傷ではない」とみなされ、因果関係が否定されます。

等級認定に有利な「OKワード」への言い換え

NGワードを避け、実態に即した「認定されやすい言葉」に置き換えることが大切です。

NGワード(避けるべき) OKワード(推奨される表現) 理由
経過良好 症状固定、項目に存続 治療を尽くしたが、これ以上良くならないことを示す。
順調に回復 一進一退、症状の残存 症状が定着しており、今後も続くことを示す。
軽減した (症状が)固定している 改善が止まり、障害として残っていることを示す。
原因不明 画像所見と整合する 医学的な裏付け(MRI等)があることを強調する。

提出前に「専門家のチェック」が必要な理由

一度提出してしまった後遺障害診断書を、後から修正してもらうのは極めて困難です。医師は自分の書いた診断を安易に変更したがりません。
当サイトの「医療連携・医証サービス」では、提出前に以下のチェックを行います。

  • 1. キーワードチェック: 認定を妨げる不適切な言葉が含まれていないか。
  • 2. 整合性チェック: 自覚症状と画像診断の結果が矛盾なく記載されているか。
  • 3. 加筆アドバイス: 認定に必要な「具体的な検査結果」が漏れていないか。

診断書を書き終えた方、これから依頼する方へ

医師に「このように書いてください」と直接指示するのは難しいものです。しかし、当サイトが提供する**「症状伝達メモ」**を添えるだけで、医師は自然と適切な言葉を選んでくれるようになります。

「自分の診断書にNGワードが入っていないか不安…」

そう思われたら、提出前に私たちの無料診断サービスへご相談ください。1通の診断書が、あなたの人生を左右します。