監修 石田 大輔 (いしだ だいすけ)

名城法律事務所サテライトオフィス 代表

所属 / 愛知県弁護士会 (登録番号42317)

保有資格 / 弁護士

骨がついて、関節もある程度動く。それでも痛い――この「画像には残るが可動域基準には届かない障害」をどう立証するか

交通事故で粉砕骨折や関節内骨折を負い、手術と長期間のリハビリを経て骨が癒合したにもかかわらず、「歩くと膝や足首が痛い」「階段を降りると関節の奥が痛む」「長時間立っていると痛みが強くなる」「手首に荷重をかけると痛い」といった症状が残ることがあります。

ところが後遺障害診断書で関節可動域を測ってみると、健側の2分の1以下にも4分の3以下にもなっていない。つまり、10級や12級の「関節機能障害」の可動域基準には届かない。このようなケースで問題になるのが、骨折後に残った疼痛を「局部に頑固な神経症状を残すもの」として12級13号で評価できるかという論点です。

自賠責の現行後遺障害等級表では、12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」、14級9号「局部に神経症状を残すもの」が定められています。ただし、ここで大きな誤解があります。「粉砕骨折だったから12級13号」になるわけではありません。また、「将来、外傷性関節症になる可能性が高いから12級13号」というだけでも不十分です。

重要なのは、症状固定時に現実に残っている痛みと、関節内骨折による軟骨損傷、関節面の段差・陥没、骨変形、外傷性関節症などの医学的所見を結びつけ、「なぜ今もこの関節が痛むのか」を客観的に説明できる状態を作ることです。この記事では、粉砕骨折・関節内骨折後の後遺障害について、医学と後遺障害認定の両面から解説します。

  • 粉砕骨折と関節内骨折の違い
  • なぜ骨癒合後も痛みが残るのか
  • 外傷性関節症とは何か
  • 12級13号と14級9号、関節機能障害との違い
  • レントゲン・CT・MRIの正しい使い分け
  • 画像所見から疼痛をどう立証するか

まず整理:「粉砕骨折」と「関節内骨折」は同じではない

この2つは混同されがちですが、意味が違います。

粉砕骨折

骨片が複数に分かれた

一つの骨が複数の骨片に分かれた骨折です。大きな外力で生じることがあります。ただし、粉砕骨折だから必ず関節が損傷しているとは限りません。骨幹部が粉砕していても、骨折線が関節面まで達していないケースがあります。

関節内骨折

関節面まで及んだ

骨折線が関節面まで及んでいる骨折です。脛骨高原骨折、大腿骨遠位端骨折、脛骨天蓋骨折、足関節果部骨折、橈骨遠位端関節内骨折、肘頭骨折、橈骨頭骨折などがあります。

関節内骨折で重要なのは、骨だけでなく、骨の表面を覆っている関節軟骨にも外力が加わっている可能性があることです。重大な関節外傷や関節内骨折は、将来的な外傷後変形性関節症、いわゆる外傷性関節症のリスク因子であることが医学研究でも指摘されています。つまり後遺障害を考える場合には、「粉砕していたか」よりも、「関節面まで壊れていたか」「関節面がどこまで元通りに整復されたか」が非常に重要になります。

なぜ骨がついても痛みが残るのか

骨折後のレントゲンを見て、「骨はもうついています」と言われても、それだけで関節内部が事故前の状態へ完全に戻ったとは限りません。特に関節内骨折では、次のような問題が残ることがあります。

  • 関節軟骨そのものの損傷
  • 関節面の段差/陥没
  • 骨軸のずれ
  • 半月板・靱帯など周囲組織の損傷
  • 軟骨下骨の損傷
  • 関節の不安定性
  • 外傷性関節症への進行

これらが残ると、歩行や荷重、反復動作によって痛みが出ることがあります。例えば脛骨高原骨折で骨片が整復されても、関節面に段差が残っていれば、膝に荷重がかかるたびに関節面へ不均等なストレスが加わる可能性があります。「骨折線が消えた」という一点だけでは、関節の予後を評価できないのです。

【外傷性関節症】事故から時間が経って痛みが強くなることがある

外傷性関節症とは、骨折・脱臼・靱帯損傷などの外傷を契機として関節軟骨が傷み、その後、変形性関節症へ進行する状態です。関節内骨折はその重要な原因の一つです。関節外傷後の変形性関節症について扱った研究では、重大な関節外傷後には外傷後関節症のリスクが高まり、特に関節内骨折は重要な危険因子とされています。

ただし、「関節内骨折=必ず外傷性関節症になる」という意味ではありません。骨折の部位、関節軟骨への損傷、骨折の重症度、整復状態、関節の安定性、年齢などによって予後は変わります。例えば脛骨高原骨折を手術した患者を追跡した研究では、その後に人工膝関節置換術へ至るリスクが一般集団より高かったことが報告されています。したがって、関節内粉砕骨折では、「骨がついたか」だけでなく「関節面がどう残ったか」まで画像で確認することが重要になります。

【重要】「将来痛くなる可能性」だけでは後遺障害にならない

ここは後遺障害認定を理解するうえで非常に重要です。国土交通省は、自賠責における後遺障害について、自動車事故による傷害が治ったときに身体に残った精神的・肉体的な毀損状態であり、事故との相当因果関係があり、その存在が医学的に認められる症状を対象としています。

⚠️

「10年後に外傷性関節症になるかもしれない」という将来リスクだけを理由に、現在の12級13号が認定されるわけではありません。必要なのは、症状固定時に痛みが残っていること、そしてその痛みを今回の骨折による関節損傷から医学的に説明できることです。将来リスクは、現在残っている疼痛の医学的背景や予後を説明する材料にはなりますが、それ自体が独立した後遺障害ではありません。

【一覧】粉砕骨折・関節内骨折で検討する主な後遺障害

残存障害主な等級判断の中心
関節をほぼ使えない8級6号・8級7号関節の用廃
可動域が大幅に制限10級10号・10級11号原則、健側の1/2以下
可動域制限12級6号・12級7号原則、健側の3/4以下
強い疼痛等が残存12級13号疼痛を医学的に裏づける所見が重要
疼痛等が残存14級9号症状の継続性・医学的整合性が重要
長管骨の変形12級8号一定の変形治癒等

自賠責の現行等級表では、上肢・下肢の関節機能障害と12級13号・14級9号はそれぞれ別の障害として規定されています。粉砕骨折では、このうち一つだけを確認するのではなく、可動域・骨の変形・疼痛をそれぞれ確認する必要があります。

可動域が3/4以下なら、まず「関節機能障害」が問題になる

粉砕骨折・関節内骨折後に関節が十分動かない場合、まず確認するのが関節機能障害です。厚生労働省の障害等級認定基準では、関節の機能障害について、原則として主要運動の可動域を健側と比較して評価します。大まかには、健側の1/2以下なら「著しい機能障害」、健側の3/4以下なら「機能障害」が検討対象です。したがって、膝がほとんど曲がらない、足首が動かない、手首の可動域が半分しかないといったケースでは、疼痛の12級13号より先に、関節機能障害としての評価を検討することになります。

では、可動域が3/4を超えていたらどうなるのか

例えば、健側の膝140度/患側の膝115度であれば、可動域は健側の約82%です。この場合、数値だけをみれば「3/4以下」という関節機能障害の基準には達しません。しかし、歩行時に強い痛みがある、階段の昇降で痛む、長時間立っていられない、仕事で荷重すると症状が増悪するといった障害が残り、その疼痛を説明できる医学的所見が存在する場合には、12級13号または14級9号という別の評価軸が問題になります。自賠責の等級表には、現在も12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」、14級9号「局部に神経症状を残すもの」が置かれています。

【12級13号】重要なのは「痛い」という訴えと画像がつながること

疼痛は本人しか感じられません。そのため後遺障害認定では、「かなり痛いです」という訴えの強さだけでなく、なぜその痛みが残っているのかを医学的に説明できる資料が重要になります。例えば関節内骨折後であれば、関節面の段差、陥没、変形治癒、軟骨面の損傷、関節裂隙の変化、骨硬化、骨棘形成、骨髄の変化、外傷性関節症、関節不安定性などが疼痛との関係を検討する材料になります。

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厚生労働省が公開している実際の労災審査事例には、足関節脱臼骨折後のケースで、レントゲン画像上、荷重関節面に階段状の変形が残り、関節軟骨損傷や外傷性足関節炎、荷重時痛との関係が医学的に評価された例があります。この事例は自賠責そのものの認定事例ではありませんが、関節内骨折後の疼痛を「骨折したから痛い」ではなく、「関節面の損傷・変形→荷重時痛」という形で医学的に説明する重要性を理解する参考になります。

【レントゲン・CT・MRI】どの画像が最も重要なのか

結論からいえば、「MRIが一番詳しいから、とりあえずMRIを撮ればいい」という考え方は正しくありません。それぞれ得意分野が違います。

レントゲン|骨癒合と関節全体の経過を見る

骨折部の癒合骨軸関節面の大きな変形関節裂隙骨硬化骨棘

基本的な検査です。特に症状固定までの経過を、事故直後・手術後・数か月後・症状固定時と比較できることに意味があります。外傷性関節症が進行すれば、関節裂隙の狭小化や骨硬化、骨棘等が確認できる場合があります。

CT|粉砕骨折・関節面の「骨の形」を見る

骨片の数関節面の陥没(mm)段差骨片の転位方向骨癒合

最大の強みは、骨の立体的な形態を詳細に確認できることです。ACRも複雑骨折において、CTは骨損傷の実際の範囲を把握するために広く利用されるとしています。脛骨高原骨折など、複雑な関節内骨折では、単純レントゲンだけでは関節面の陥没や粉砕状態を十分把握できないことがあります。

MRI|軟骨・半月板・靱帯など「骨以外」を見る

関節軟骨半月板靱帯骨髄軟部組織

例えば脛骨高原骨折では、骨折に伴って半月板や靱帯が損傷していることがあります。ACRの急性膝外傷に関する基準でも、脛骨高原骨折などに伴う追加の軟部組織損傷を評価する場合にはMRIが重要な役割を持つことが示されています。関節軟骨の状態が長期成績に関係することを示した研究もあり、関節内骨折後の疼痛や予後を評価するうえでMRIが有用となるケースがあります。

⚠️

「関節内損傷を証明するにはMRIが必須」は正しくありません。関節内骨折の存在や関節面の骨性変形は、レントゲンやCTでも十分確認できることがあります。むしろ、関節面の骨片・陥没・段差・粉砕状態についてはCTが非常に重要です。軟骨・半月板・靱帯など骨以外の損傷について詳しく評価したい場合にはMRIが有用です。後遺障害立証では「レントゲン vs CT vs MRI」ではなく、「何を証明したいのかによって画像を選ぶ」ことが重要です。CTで見るべき骨の段差をMRIだけで戦おうとしても、画像診断は装備品ゲームではありません。

【立証で重要な6要素】12級13号を検討するなら何を確認するか

1

事故直後の骨折形態

最初に確認するのは、そもそもどれほど重大な関節外傷だったのかです。単純骨折なのか、粉砕骨折なのか、関節内骨折なのか、脱臼を伴っていたのか、関節面が陥没していたのか。事故直後の画像は、現在の疼痛の出発点を示します。

2

関節面の損傷

特に重要なのが、荷重する関節面が壊れていたかです。膝・股関節・足首などは、歩行時に大きな荷重がかかります。その関節面に不整・陥没・段差が残っている場合には、荷重時痛との医学的関連を説明しやすくなります。実際に厚生労働省の審査事例でも、足関節の荷重関節面に残った階段状変形と荷重時痛が画像・臨床所見から評価されています。

3

現在の画像所見

事故直後の骨折が重かっただけでは十分ではありません。症状固定時に何が残ったのかを確認する必要があります。レントゲンやCTで、関節面不整・変形治癒・骨硬化・骨棘・関節裂隙変化などを確認し、必要に応じてMRIで軟骨・軟部組織の状態を評価します。

4

痛み方との整合性

「痛い」という一言ではなく、歩行時、階段下降時、長時間立位、重量物を持ったとき、手を床についたとき、関節をひねったときなど、どの動作で疼痛が生じるのかを整理します。例えば荷重関節面に変形が残り、荷重時に一貫して疼痛が出るのであれば、画像所見と症状の対応関係を説明しやすくなります。

5

治療期間中から症状が一貫しているか

症状固定直前になって突然、「実はずっと激痛でした」と主張するより、事故後から疼痛が継続してカルテに記録されている方が、症状経過を説明しやすくなります。診療録、リハビリ記録、投薬内容なども重要です。

6

可動域基準に届かない理由を整理する

ここがこのタイプの案件では重要です。「関節はある程度動く。しかし荷重すると痛い」という人は実際に存在します。可動域と疼痛は別の問題だからです。したがって、「可動域が80%あるから後遺障害なし」と短絡せず、可動域障害に該当するか、変形障害はないか、疼痛による神経症状は残っているかを分けて検討する必要があります。

【否定・14級になりやすいパターン】12級13号の立証で何が足りないのか

パターン1

現在の画像に疼痛を説明する材料が乏しい

事故当初は重度の粉砕骨折でも、最終的に非常に良好な整復・骨癒合が得られることがあります。「最初の骨折が重かった」という事実だけで、現在の強い疼痛が当然に説明されるわけではありません。症状固定時の医学的所見が重要です。

パターン2

「将来関節症になる」としか説明できない

将来リスクと現在の後遺障害は分ける必要があります。今現在、どの症状がどの程度残り、どの画像所見から説明できるのかを整理しなければなりません。

パターン3

MRIだけ撮ってCTを確認していない

粉砕骨折・関節内骨折の骨性変形を評価する場合、CTの情報が重要になるケースがあります。「MRIの方が高性能」という発想で検査を選ぶのではなく、確認したい障害に応じて選択する必要があります。

パターン4

痛みの訴えが診療録に残っていない

後遺障害診断時だけ強い疼痛を訴えても、治療中のカルテとの整合性が問題になることがあります。診察時から、「歩くと何分程度で痛くなる」「階段を降りるときに痛む」「仕事で荷重すると夕方に悪化する」など具体的に伝えることが重要です。

パターン5

疼痛と機能障害を一緒にしている

可動域制限による機能障害と、疼痛による神経症状は評価軸が異なります。複数の症状があっても、同一の傷害から通常派生する障害については単純に等級を積み上げない場合があります。厚生労働省の認定基準にも、機能障害と神経症状が通常派生関係にある場合には上位の等級によって評価する考え方が示されています。

【立証書類】後遺障害申請前に揃えたい資料

画像関係

  • 事故直後のレントゲン
  • 手術前CT
  • 手術直後のレントゲン
  • 骨癒合過程のレントゲン
  • 症状固定前後のレントゲン
  • 必要に応じたCT
  • 軟骨・半月板・靱帯等の評価が必要な場合のMRI

重要なのは、最新画像だけではありません。事故直後から症状固定までを時系列で比較できることです。

診療関係

  • 診断書/後遺障害診断書
  • 手術記録/診療録/リハビリ記録
  • 関節可動域測定結果
  • 医師の画像所見

必要なケースでは、現在の疼痛と画像上の異常との関係について、主治医の医学的評価を確認します。

「12級13号」を検討するための3つの戦略

戦略 1

事故直後と症状固定時の画像を並べる

事故時の損傷と現在残っている異常を比較します。

メリット関節面の損傷がどのように治癒し、何が残ったのかを説明しやすくなります。

デメリット画像上の異常が残っていても、それだけで疼痛の程度まで証明できるわけではありません。

戦略 2

検査を「目的別」に選ぶ

「骨の段差を見たい」→CT、「軟骨・半月板・靱帯を確認したい」→MRI、「骨癒合や関節症の経過を見たい」→レントゲン、というように目的を分けます。

メリット疼痛の原因を説明するために必要な情報を効率的に集められます。

デメリット必要性のない検査まで後遺障害目的だけで求めるべきではなく、実際の検査適応は医師が医学的に判断します。

戦略 3

「画像+痛み方+仕事への支障」をセットにする

画像だけでも、本人の訴えだけでも不十分になりやすい領域です。次のように整理します。

CT:足関節荷重面に段差が残存
症状:歩行・階段下降時に足関節痛
診療録:事故後から一貫した荷重時痛
仕事:立ち仕事を一定時間続けると疼痛増悪

メリット医学的所見と実際の障害が一つのストーリーとしてつながります。

デメリット強い自覚症状があっても、それを説明する医学的所見が乏しい場合には評価が難しくなることがあります。

非該当・14級だった場合は何を見直すべきか

粉砕骨折だったにもかかわらず非該当、あるいは14級9号だった場合、「こんな大事故なのにおかしい」と事故の重大性だけを訴えても結果を変えるのは困難です。確認すべきなのは、次の点です。

  1. 関節内骨折だったか
  2. 関節面に段差・陥没が残っていないか
  3. CTを確認したか
  4. 軟骨・半月板・靱帯等の損傷が疑われるか
  5. 外傷性関節症の所見はないか
  6. 疼痛が治療期間中から一貫して記録されているか
  7. 痛みがどの動作で生じるか具体化されているか
  8. 関節可動域も正しく測定されているか

そのうえで、新たな画像、医師の意見書、画像所見の再評価、診療録、リハビリ記録などを補強し、異議申立てを検討します。「粉砕骨折だった」という傷病名ではなく、「現在なぜ痛いのか」を医学的資料で再構成することが重要です。

まとめ:粉砕骨折では「骨がついたか」より「関節に何が残ったか」を見る

この記事のポイントを整理します。

  • 粉砕骨折と関節内骨折は同じではありません。粉砕骨折は骨片が複数に分かれた骨折、関節内骨折は骨折線が関節面まで及んだ骨折です。
  • 関節内骨折では関節軟骨や荷重関節面が損傷し、骨癒合後も疼痛や外傷性関節症につながる場合があります。ただし、必ず外傷性関節症になるわけではありません。
  • 可動域が健側の3/4以下などの基準に達すれば関節機能障害が問題になりますが、基準に達しなくても強い疼痛が残る場合には12級13号・14級9号を別途検討する必要があります。
  • 「将来外傷性関節症になる可能性」だけでは現在の後遺障害認定には足りません。症状固定時に存在する疼痛と、それを医学的に説明できる所見を結びつける必要があります。
  • MRIは関節内骨折の立証に必ず必要な検査ではありません。骨折形態・関節面の段差・陥没にはCT、軟骨・半月板・靱帯等にはMRI、骨癒合や関節症の経過にはレントゲンという使い分けが重要です。
  • 12級13号を検討する場合には、事故直後の骨折形態、症状固定時の画像、疼痛の部位・出現動作、治療中からの症状の一貫性、仕事や生活への支障を組み合わせて、「なぜ今も痛いのか」まで立証することが重要です。

粉砕骨折は、レントゲン上で骨が癒合した時点で問題がすべて終わるとは限りません。特に関節面を巻き込んだ骨折では、骨はついた、関節も基準以上には動く、しかし荷重すると強く痛む、というケースがあります。このタイプの後遺障害で重要なのは、痛みの強さを繰り返し主張することではありません。「事故直後の関節損傷 → 残存した画像所見 → 現在の疼痛」という医学的な一本の線を作ることです。症状固定や示談の前に、レントゲンだけで十分なのか、CTで関節面を確認する必要があるのか、MRIで軟骨・半月板・靱帯等を見る医学的必要性があるのかを、主治医と確認することが重要です。

※画像検査にはそれぞれ医学的な適応があります。後遺障害申請だけを目的として不要なCT・MRI等の検査を求めることを推奨するものではありません。検査の必要性は担当医が症状・診察所見等を踏まえて判断します。
※本記事は一般的な交通事故・後遺障害制度および粉砕骨折・関節内骨折について解説するものであり、法的・医学的アドバイスを目的とするものではありません。後遺障害等級は、骨折部位、画像所見、関節可動域、治療経過、疼痛の内容、既往症等によって個別に判断されます。具体的な症状や画像検査については担当医に、後遺障害申請・損害賠償については交通事故に詳しい弁護士へご相談ください。